日本に多い台風。その発生メカニズムとは

日本に多い台風。その発生メカニズムとは

日本は台風大国と呼んでも良いほどに、多くの台風が上陸します。しかし、それだけ多く発生している台風ですが、その発生メカニズムについてはあまり理解していない方も多いのではないでしょうか。

台風はどのような原因で発生し、なぜ日本に上陸してくるのか。それらの点について簡単に解説させていただきます。

私たちを悩ます台風!その発生条件はこれだ

台風は暖かい地域の海で発生する

天気予報で台風情報を見れば、ある傾向に気がつくかもしれません。それは台風は大抵、日本から見て南の海でできていることです。これは偶然ではありません。実は、台風は熱帯のような暖かい地域の海で発生するからです。

台風は大きな雲の集まりですから、それだけの雲が発生する条件を満たしています。太陽光の熱量が多い熱帯地域の海では、海水が熱せられて水蒸気が大量に発生します。その水蒸気が雲になり、台風が出来上がる上での要素になるのです。

上昇気流が台風の形成のもう一つの要素

台風は単に海水が蒸発するだけでは、その発生条件を満たしません。その発生条件のもう一つの要素となるのが、上昇気流の存在です。

上昇気流は多くの海では発生するものではありません。しかし、赤道付近にある熱帯地域の中でも、低気圧が停滞する傾向のある場所では、上昇気流が発生する可能性が高くなっています。このようになるのは、高気圧に覆われた地域に比べて、低気圧が停滞する場所の大気が不安定であるからです。

この上昇気流が、熱帯地域で発生する水蒸気を積雲や積乱雲へと発達させます。これらの雲が、低気圧を中心にして渦を巻きながら雲の塊(クラウドクラスター)を形成していくと、それが台風となるのです。

あの恐ろしいほどの威力はどのようにしてできるのか

中心部の低気圧が台風の威力を作る

台風がただの雲の集まりではなく、大きな威力を持った雲の渦になるのは、中心部の低気圧が関係しています。

台風の要素となる雲が作られる際、その雲は多くの熱を発します。その熱が上空を暖めることで気圧が下がり、台風の目となる低気圧が作られていきます。そして、この低気圧は周りの空気を引き込む性質を持ちます。

台風の低気圧は、引き込む威力が強いのが特徴です。そのため、低気圧によって暴風が起こります。台風の強さを測定する上で、中心低気圧の低いものほど台風の威力が強いと予測できるのもこのためです。

大雨を降らせるのは巻き込まれた雲の密度が高いから

先述したように、台風は中心の低気圧に向かって周囲の大気を巻き込みます。

この時に多くの積乱雲も巻き込んでいき、密度の高い雲が形成されていきます。

雨は大気に浮いていられない重さになった雲の中の氷晶が、水滴になって地上に降り注ぐものです。密度の高い雲は、それだけ多くの氷晶を作りますので、大雨を降らす要素と成り得ます。

つまり、低気圧によって多く巻き込まれた雲がその密度を高くし、多くの水滴を降らせる、これが台風による大雨の威力の強さを作る原因です。

台風大国日本と呼ばれる理由

日本の立地条件と気象条件が台風の被害を受ける理由に

日本は非常に台風の上陸が多い国です。そうなってしまうのには、日本の立地条件と気象条件の二つが大きく関係しています。

まず立地条件の点では、先述した台風の発生しやすい熱帯地域の海が、すぐ南東にあることが挙げられます。つまり、台風の発生しやすい場所の近くに日本があるので、台風が上陸しやすいのが一つの理由です。

そして次に気象条件についてです。日本は夏の終わりに、日本を覆っている太平洋高気圧が弱まる期間があります。高気圧は台風を寄せ付けない働きをしてくれます。しかし、その高気圧が弱まれば、台風の上陸を許してしまうことになるのです。

さらに、日本は偏西風という西から東への風が吹いており、台風はこの風によって移動をします。そのため、南から来た台風はちょうど日本列島の中心を縦断する形で移動していくのです。

被害の多い地域、少ない地域

台風の被害は日本列島の中でも差があります。最も台風被害の多い地域は、台風の進路によくかかる沖縄でしょう。南でできた台風は、その気流や風の傾向で、ちょうど沖縄を経由する傾向があります。そのため、沖縄は頻繁に台風が来る地域となっています。

逆に被害の少ない地域としては、北海道が挙げられます。北海道は偏西風の流れる進路よりも北側にあるため、台風が進む道筋からは外れることが多いです。それに北海道付近にたどり着く頃には、台風の勢力が落ちて温帯低気圧になる傾向が多いのも台風の被害が少ない理由です。

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まとめ

日本に多く上陸する台風は、その発生の原因や進行経路など様々なメカニズムがあることがわかります。上記のような理由から、日本が台風大国と呼ばれる理由が理解できるのではないでしょうか。